よく行くパリの釣具屋で、日本人だからというので、店主が、パリの日本人でフライを作っている人間を知っているという。実はわたしも、ある人が元の商売をやめて毛鉤を巻いているのを知っていたので、何々さんではないかというと、どうやら同一人物だったらしく、店主はさっそく携帯でわたしが来店していることを知らせ携帯を代わってくれ、彼と久しぶりに話をした
わたしがその人と知り合ったのは、わたしがパリにモデル撮影の仕事で訪れたとき、彼がヘアメイクアーティストだったことだった。有名なサロンから派遣された彼とは食事のときにいろいろな話をしたが、一度も釣りの話は出なかったが、印象深い人だった。
何年かたって、偶然パリで、彼に再会した。それはパリのデパートBHVで、日本で言うと、
百貨店にホームセンターがくっついたような品揃えで、DIYやプロフェッショナル用の
工具やカー用品やいろいろなものを売っていて、時間をつぶすには格好なストアだった。
釣具もあったりして、そのときは MITCHELL441 の売れ残りを安く買った。
そこで偶然再会した彼に、最近、仕事はどうかと聞いたら、彼は生き生きした様子で、
仕事を変わった事を告げた。彼が言うには、今までの ヘアメイクの 仕事では、会える人は、
よくて有名カメラマンやモデルという業界人たちでしかなく、それに比べてこの新しい
フライフィッシングの世界では、元貴族のお金持ちや政財界の人にも会えることがうれしい
とのことだった。
パリでも、ゴルフと同じようにフライフィッシングは貴族的なスポーツとして流行って来ていたの、
彼の言うことももっともだと思ったが、何よりも、ヘアメイクだった彼が、女性の髪を巻くのを、
毛鉤に変えたことに驚きを感じたが、その電話の声からは今の仕事を楽しんでいる彼の姿が浮かんだ。




懐かしいパリの釣具屋3

思い出の品は使えなくて未使用のまま
