80 年代半ば、関東では日光の中禅寺湖、箱根の芦ノ湖はルアーフィッシングのメッカだった。
モンスターと呼ばれるレインボーやブラウンを狙って、解禁日などはすごい数の釣り人が集まっていた。
特に芦ノ湖は良く通ったが、われわれにとってブラックバスはトラウト釣りの外道だった。
くろさわボートが多かったと思うが、手漕ぎボートを借りて、よく鳥居のある九頭竜付近で
レインボーを釣った。持っていったタックルは『ガルシアカスタム2701+ミッチェル408』と
『ハーディフェラライト+ミッチェル330』だった。
ボートの上からは前者で、岸に着けてからは後者で遠投するのが常だったが、気分で使い分けていた。
あるとき、とんでもないアクシデントが起った。ボートの上でレインボーをフッキングしたときに、
ランディングネットを手繰り寄せた弾みで、『ガルシアカスタム2701+ミッチェル408』を
うっかり水没させてしまったのである。そのとき、ボートの上で感じた失望と脱力は表し難いものだった。よく本や雑誌で余計なものはボートに積まないようにとか、あまり多くのタックルを使わないように
とか書いてあったことを思い出したり、がっかりしていた。
どれぐらい呆然としていたかは覚えていないが、気を取り直して、とはいっても暗い気持ちで
どうなったか水の中をのぞいてみると、水底にロッドの金色のリールシートが見える
のだ。運良く、マウンドのようになった水深2、3メートルぐらいの浅場に落ちていた。
すぐに、もう一本の竿とリールでルアーを投げて吊り上げることができたのは奇跡的だった。
あーあ、やっぱり予備の道具を持って来てよかった!!!
っていうことでいいのだろうか???
それ以降、さらにいまも私の手元にある『ガルシアカスタム2701+ミッチェル408』
に不思議な運命を感じた。
198?年の解禁後すぐの芦ノ湖
こんなアクシデントがあるなんて