海外によく仕事で出掛けていたが、ヨーロッパ、特にパリやロンドンが多かった。
兄が仕事でロンドン駐在になったこともあり、ロンドンの釣り具屋にはよく顔を出した。
特にペルメル街にあるハウス・オブ・ハーディやその近くのファーローでよく釣具を買って帰った。ちょうど、ポンドやフランが安いときだったので、日本に比べると結構リーズナブルに買うことができた。
当時は、映画『リバーラン スルーイット』が公開される前で、フライフィッシングブームでもなく、2軒とも、そんなに活気のある店ではなかった。とくにハウス・オブ・ハーディは暗い感じの小さな店だった。よっぽど、日本の大きなショップのほうが品揃えは豊富だった。
そのかわり、店の客もそんなに多くはなかったので、ゆっくり買い物ができた。釣竿やリール、セーター、帽子などを折りあるごとに買ったが、あるとき、地下の奥に、古いハーディのリールが売りに出されていた。いまでは中古品を扱うなど考えられないが、その当時の店の雰囲気、古めかしい感じには合っていた。
リールは「HARDY ELAREX」で、オリジナルの箱も付いていた。クロームシルバーのボディが美しい両軸リールだ。
いま、そのときの領収書をみると
「Jess Miller Fishing tackle £120 1990 年11 月16 日」となっているので、ハウス・オブ・ハーディで委託販売していたものだったようだ。
この1 台のリールからはじまり、ヨーロッパのいろいろなところで、古い釣具を買いはじめた。
ロンドンはアンティークの宝庫!